訴状等の送達
債務整理のご相談、特に時効援用のご相談で、債権者に訴訟や支払督促の手続きを取られたことがあるかどうかを確認することがあります。
相談者の方からは「裁判などを起こされていたら、書類が届くから分かりますよね?」との質問が多く、確かに自宅に届いて分かることは多いのですが、そうでない場合もあります。
訴状は被告に、支払督促は債務者に、送達しなければならないこととなっています。
法律用語でいう「送達」は、単に送付することではなく、特定の人に対する、訴訟上の書類の内容を了知させるための、法律で定められた方式に従った通知です。
送達は交付送達が原則なので、原則通り交付がなされれば、通常は訴訟等が起こされたことが分かります。
しかし、付郵便送達や公示送達という送達方法もあり、これらは名宛人に了知されない可能性を前提とした方法です。
付郵便送達は、名宛人がいつも不在で、不在連絡票を使用して書類を受け取ることもしない場合などに、書留郵便で発送すると、発送時に送達があったとみなされる送達方法です。
公示送達は、名宛人の住所、居所が不明の場合などに、裁判所の掲示板に、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を掲示する方法で、実際に名宛人がそれを見ることはほとんどないと考えられます(なお、支払督促で公示送達を利用することはできません。)。
これらの場合、訴訟等を起こされても知らないままということが起こりえます。
このような制度設計から、訴訟等が起こされてもそのことを知らない方は偶にいますので、弁護士はその点にも留意しています。


